なんにしても、正ちゃんは、指さきですることは、不器用でありました。
鉛筆もひとりでうまく削れません。女中のきよに削ってもらいます。きよは、お勝手のほうちょうで削ってくれます。 「じょうずに、けずっておくれよ。」と、正ちゃんは、自分がけずれないくせに、こういいます。 「はい。」と、きよは、やりかけている仕事をやめて、ぬれた手で、丁寧に、けずってくれました。しかし、そんなときには「ありがとう。」というのを、正ちゃんはけっして忘れませんでした。 もう一つ、手の不器用なことの、例をあげてみましょうか。それは、鼻をかむときでした。 「正ちゃん、ひとりで、鼻をかんでごらんなさい。」と、お母さんが、おっしゃいますと、正ちゃんは、紙を持ってきてかみますが、かえって鼻水をほおになすりつけるのでした。こんなとき、もしお姉さんが見ていらっしゃると、すぐに立ってきて、きれいにかみ直してくださいました。
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